妄想日記

17/9/2015 僕には、あの時の

「私は帰ってこないよ、ジョバンニ。今日はナポリの試合があるの」 マウラが僕にそう告げた夜に、ローマではフーリガンによる警察沙汰の凱旋が行われていた。 直ぐ近くのトラットリアで唄うダリを窓辺から見た夜の深くで、赤い光と歌声が地鳴りの様に遠くか…

13/8/2015 パーティー・カット

髪を切ってもらう束の間に話す幾つかは、どうでも良い話が多い。 けれど、彼女はそれを憶えている。 「二ヶ月分、切って下さい」 「この前と同じ感じですね。ところで、知らない人にガジュマルを贈る話はどうなりました?」 Fから質問をされる事は多くない。…

22/7/2015 黒が滲む外

『ああ、黒が滲む』そう映っていた。「あの人は危ない気がするよ。大丈夫?」「あの人はあまり良くない。奥さんといつも喧嘩をする。あの人は、奥さんにいつも手を出す」「やっぱり良くないか。女の人を殴るの?何にせよ、それは許されない事だよ」僕は台帳…

18/7/2015 寄り添い光線

久々に東京へ戻った。何をするでもなく、外界に足跡を残す事にした。外に出るという事は、世界に干渉している事を、僕がここにいるという事を、誰かに伝える行動だと自分に説明した。色々な導き方が人にはあって、存在の示し方も多様なのだけど、僕の場合は…

13/7/2015 消えた生命を整えたもの

ある村の民族資料館を訪れた。 緑豊かな村の資料館には、石器時代から延々と置き去りにされた人類の生活道具が数多く収められている。 それらの歴史的な諸々に混じって、動物の剥製が数多く配置されていた。 熊や鹿、狸や鳥の剥製。 鹿は、大きな瞳をしてい…

吹いてもいない風が吹いた

その山に靄が掛る姿は淫靡だった。暫く眺めていても飽きない。僕はその美しい姿を眺め、その姿に触れられないものかと何度か右手の5本を揺らした。「美しい景色だった」と宿で回想する。けれど、その写真は無い。本当に好きな景色や愛した人と居る時間の写…

4/7/2015 終末のセレモニー

僕の一年には365日ある。その一年には四季がある。この一年には多くて2日、通例としては1日だけ終末のセレモニーがある。一年の中で僕にはそれまでの自分と決別しようと思う時が訪れる。今でもふとした瞬間に訪れるけれど、昔に比べたら随分と少ない。…

30/9/2015 、の数

本当に素敵な文章がある。それらに出会うと僕の肺は浮き上がる。それは詩的な文章に限ったことではなくて、とても気配り屋さんな文章だなと感心したり、言葉の色や筋が急に変わって、書き手の想いを感じた瞬間であったり、官能的で匂いまでしそうな文章、簡…

29/6/2015 足跡には生命を

そこを走り抜けると花が咲く。その時々にはシャボン玉が舞う。犬や猫達のファンファーレも用意する。始めは白黒の景色だから、昼か夜かもわからない。僕は走り抜ける。走り抜けようとすれば全てに色が宿る。足下にはオーロラが落ちている。雪が降りそうだ。…

12/5/2015 溶けた宝石

雨の中、車の窓ガラスに映える光が好きだ。ずっと昔から変わらない。綺麗だ。宝石が溶けてるみたいだ。

今は無理だよ、海獣と一緒なんで

僕のお気に入りの場所は、いつも人がいない。この浜辺もそうなのだけど、少し海水浴場から歩いて行くとそこにはアシカの群れ(真っ黒なサーファーさんをいつもそう呼んでる)もいない。テトラポットが波を大人しくさせるから、砂は静かにするしかない。だから…

21/4/2015 「必要としているなら」

「紹介しようか」と職場の人に言われ、その言葉にお祭り騒ぎな僕ですが、好きな女性のタイプに深津絵里を挙げて神輿が暗礁に乗り上げました。 こんばんは。in成田空港 おかしな話です。東京に住んだら絶対に深津絵里とか銀座線でバッタリ会えると思ってまし…

Dの場合

「そういえば、ドラムさんとは会っていますか?」『いや、最近会っていないよ。今度呑む約束をしたから、その日が久々になるね』「ドラムさんは哲学書を今でも読んでいるんですか?」『いや、読んでいないんじゃないかな。恋人が出来てからの彼は現実に忙し…

29/3/2015 蜘蛛⇄クモ

でかい→怖い→嫌い→ゴキブリ食べる→尊敬→好き。なのだから好き→尊敬→ゴキブリ食べる→嫌い→怖い→でかいわからない。なんか違う。

28/3/2015 嘉瀬君が言うには

嘉瀬君が言うには、全身から脳に向って眠くなる成分が行き渡るのを想像すると、直ぐに眠れるのだそうだ。僕は中学生の頃から、ソレを信じて幾度となく試みたのだけど、成功した事がない。嘉瀬君が言うには、10分程で眠れるらしい。僕の場合、眠くなる成分が…

12/3/2015 今日だけお祈りをするなんて、今日もお祈りをする人がいるのに

確かに今日の午後、僕はその事について考えてみたし、瞼を閉じた。でもさ、そればっかりって事もないだろう。生まれたものだってあるだろうに。今日が一番素敵な記念日の人もいるんじゃないかな。全く違う場所で何かを誓い合った人達もいると思うよ。今日だ…

6/2/2015 脳内映画館

滑走路に向かう機体の中、飛行機の座席に腰を下ろした僕は、ふと思い付いた。 「ねぇ、何で上見てるの?てか、何でニヤついてるの?」とYが僕に言った。 『いや、しばらく暇だろ?どうやって時間潰そうかなって、思い付いたから試してみようかと』僕は上を見…

29/1/2015 やがて、春が来る

初詣に行かなくてはならない。 すっかり忘れていた。 メモになかったからかな。と言っても僕は2月に行くのが癖になっている。 子供の頃から成田山へお参りするのは、多忙な父親が、重い腰を上げてからだったからだ。 今では成田山に行く事はないのだけど、…