Mの話

正直なところ、僕自身も彼女について理解している事は少ない。
 
彼女は頑なで恐ろしいほどの見栄っ張りだった。
 
だから、僕の前で愉快にしている姿しかあまり記憶がない。
 
精神が強い人だった。
 
また綺麗な人でもあり、良い人でもあった。
 
人にもよく騙された。けれど、僕には全く何も話さなかった。本人は、あんまり気にしていなかったのかもしれない。
 
僕が言うのも何だが、確かに変り者だった。
 
もちろん、良いところばかりではない。
 
まぁそこも引っくるめて、今では愛情を込めて回想に耽るのだから良しとする
 
恐ろしい見栄っ張りの変り者女について昔話をされる。
 
賑やかな人だったという事や、掴み所がなく、何を考えてるかわからない女で、足が早かったと繰り返される。
 
おかしな人だと思う話が多いから、結局は変な人なわけだ。
 
彼女の姉は「猫みたいな女だった」と言った。
 
彼女の弟は「あれ以上の変り者はいない」と言った。
 
続けて、「黙ってさえいれば、本当にいい女なんだけどな」と言う。
 
みんながそれを聞いて笑った。
 
そういう人だから、あなたはあっちでも賑やかにやってるだろう。
 
最近、僕の夢によく来るけど、傍で見守っているくらいで良いはずだ。
 
しっかりしてない僕も悪いか。
 
僕は、案外それなりに楽しくやってるよ。
 
そんなに心配しなくて良い。
 
賑やかな貴女の夢は、目覚めると少しだけ、さみしくなる。
 
 
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