Letter 4

Letter 4
 
それから数日後に僕等はフィレンツェにいるのだけど、僕はフィレンツェの大聖堂も教会も彫刻美術にも全く関心が無くなってしまったんだ。
 
もうどうしようもなかったよ。
 
一人でその美しさを確認する事に飽きてしまったんだから。
 
だってあまりにもそれは簡単なことだろう?
 
僕はそれを見て、それについて知る。
 
良いものであったり、大切なものだと言われて、それを認める。
 
愛する人や友人がそばにいるわけじゃない。
 
誰かにこれって良いものかな?って聞く必要もないし、僕のそばで誰かが僕の言ったことに文句を言う事もないんだ。
 
美しいものを見た。終わり。素晴らしい経験だ。終わり。その繰り返し。
 
一人なら旅行本にあるものを片っ端から見るのも容易いことだ。
 
まるで面白くない。
 
僕が見終わるとマウラが次の場所へ僕を連れて行こうとする。
 
僕は街の真ん中の左手でそれを断る。
 
マウラとカフェやリストランテにでも行って彼女の身の上話を聞いている時間の方がよっぽど僕には大切に思えることだったんだ。
 
彼女はすごく不思議そうだったけれどね。
 
だからさ、僕はもう二度とごめんだと思うよ。
 
僕はオーロラが見たくて仕方ないけれど、一人っきりで氷のベッドで眠るなんてごめんだって思うんだ。
 
僕にはその時に愛する人が必要だよ。
 
それがなきゃ始まらない。
 
めんどくさいことを増やさなきゃいけない。
 
でもそれは鬱陶しいことなんかじゃまるでないんだよ。
 
僕はそれがやっとわかってきたんだ。
 
一人っきりならさ、オーロラを眺めることはあまりにも簡単じゃないか。
 
これから秋が深まったら、直ぐに僕はできてしまうよ。
 
一人なら、それはさ。
 
僕には愛する人が必要なんだよ。
 
僕が望む事を前にして、この時間は美しいと、そこで伝えなきゃって思うんだよ。
 
 
 
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