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LobLoy’s diary

現実日記・妄想日記・夢日記

人を待つ間に


僕みたいな時間に無頓着な人間が友人の一人だったりすると、何かと大変らしい。約束と呼ばれる定石を有りのままにしておく為に、友人達は彼等に巣くった神経質さに磨きをかけている。僕が朝起きたのかを確認する連絡が止まない。その頻度は年々増しているのではないかとさえ感じる。プライベートな時間に限らず、仕事では昔から基本的に遅刻をしている。朝からたまに事務所の椅子に凭れ掛かっているだけで、拍手喝采に満たされる今日この頃、

謝罪します。

さて

この時間に無頓着な主人は遅れてばかりでもないわけで、時々はこうして待ち人側にも立つ。僕は人を待つ時間も好きだから、何をして待とうかと想い巡らせて、しばらくは珈琲や煙草やらと相談する。そのあと「手記を束ねても良いだろうし、読みかけの小説に手を伸ばすのも悪くないだろうよ」とテーブルの眼鏡が言うので、用意したポストカードに「それでも良いかな?」と聞いてみたりする。

人を待つ間に分かれた記憶を剪定する。

ずっと前のことだけど、待ち合わせで約束の4時間後に会った恋人がいる。理由は「洗濯機を回していたから」だった。その時の僕は笑う。とても明瞭な理由だと感心したから。彼女は洗濯物を干しきる事が出来て着る服には困らないし、僕は読みかけの物語が読み進んで、何枚かのCDを買い、ライナーノーツを隅々まで読む事が出来た。そして、僕は4時間くらいなら人を待つ事は何の負荷にもならないのだと知った。もちろん僕の場合だけど。

その時の僕は一人でランチを済ませた。ディナーは二人で。特に変わった話ではない。そこで起こる予定の数々は無くなった。けれど、人を待つ間に至る一人っきりの4時間の中で、僕の効用は満ちていた。「楽しみにしていた折角のデートが台無しになってしまったじゃないか」と4時間後の恋人に文句を言ったら、少しは僕のことを信頼したのだろうかと思ったりもする。顔と顔を突き合わせて、僕はその日に二人で居ることが当り前なのだから、そのように過ごした。僕は彼女のことを好いていた。それがどの程度のものだったのか、今ではやっとわかるくらいに。僕らの中で変わった事と言えばそれくらいだった。





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