13/8/2015 パーティー・カット

 
髪を切ってもらう束の間に話す幾つかは、どうでも良い話が多い。
 
けれど、彼女はそれを憶えている。
 
「二ヶ月分、切って下さい」
 
「この前と同じ感じですね。ところで、知らない人にガジュマルを贈る話はどうなりました?」
 
Fから質問をされる事は多くない。
人見知りの「?」に肺が暴れそうだった。
 
『手描きのバースデーカードを贈ったよ。大きな鳥のカイトも』本当はそのまま伝えようかと思ったけれど、やめてしまった。
 
「まだ渡せていないよ。でも、もう過ぎてしまったから、次の誕生日のことを考えている」
 
「また大きくて、かさばるものを?」
 
「そう。すごく大きなものを。わからないけれど、何かそんな物をあげたくなっちゃうんだ。生まれた日のお祝いだからね。パーティーには必要の無いものだって沢山揃ってる。僕はその係りなんじゃないかな」
 
「また変な事ばかり考えていますね」
 
大きなパーティーを想像する。
 
酔いつぶれて庭で寝そべる人々を。
 
そこに理由を探しているけれど、僕の理由があるのかわからない。
 
誕生日に僕等は祝砲を空に向けない。ダンスもしない。見知らぬ人達が集う事もない。
 
大切な人が、大切なものを彼女に渡すだろう。一日中、音楽が流れるわけでもないなら、だからその代わりに。
 
気が付くとパーティーから戻っていた。
 
Fが黙ったまま、髪を切り続けている。
 
僕の髪の毛が床や至る所に寝そべっている。
 
不意に残念に思う。
 
パーティーにFを連れて行けなかった。
 
その理由もわからないのだけど。
 
 
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