LobLoy’s diary

現実日記・妄想日記・夢日記

29


予定の時刻まで2時間はあった。
Cが到着するまでの間、街を散策して煙草も吸えないカフェでコーヒーを飲んだ。
仕事の待ち合わせ場所になったその駅に立ち寄ることは二度と無いだろうと感じたから、最後の蕎麦を食べて、最後の煙草を吸う。
するべきことが無くなったので、駅のベンチに腰掛けてCを待つ事にした。
唐突に風が髪を揺らす。
目の前を女子高校生が左から右へと走り去った。彼女が凄まじい速さで走り抜けた後に吹く若い風。その子に追いつこうとした風は改札で消えた。

彼女の後ろ姿を眺めながら、自分の軌跡を考え始めた。僕はもうじき30になる。20代の終わりが直ぐ目の前だ。

THE WHOのBaba o'rileyを不意に思い出して

「10代は不毛だ」

と頭の中のロジャー・ダルトリーが唄った。

けれど、その唄はみんなに当てはまらなかった。とりあえず僕にはそうだ。あっという間に過ぎ去りかけている20代に10代以上の不毛さを感じているのだから。

社会人となり、必要となるお金を稼いで、何かを食べて生きる。一つの循環の中で生きる人生は不毛だったのではないかと思えてしまう。愛情の幾つかを掘り起こしても、今はもう手元にない。結果だけ眺めてしまうと29歳の僕が得たものは特に何もないとさえ思えた。結果で物事を測る様になったのはいつからだろうと疑問を掲げた矢先に約束の時間が訪れていた。

駅でCを迎える。Cのバッグは29㎏。バッグを車の後部座席へ二人で放り投げ、最後の仕事に取り掛かる。車でCの家まで15分、汚れた蛇腹の様な山道を頼り無いヘッドライトが導いている。不意に名前を呼ばれ、助手席を向くと顔の前に煙草があった。Cの敬意がNo.555に宿っている。想定にないことだった。

結果ばかりを眺める様になったのはきっと20代になってからだと、煙草を手に取り思った。

10代の頃、僕は先を考えずにただ何かをしでかしていた。10代は不毛だと知っていながら、だったら何でもやってしまおうと。残念なことに不毛時代は20代になってもまだ変わらないから、僕の不毛時代には決着がついていない。結果を置き去りにした始末は後にまわして、また次の節目で同じ話をするのだろう。もし同じ話をしないなら、それもかまわないのだけれど。次の節目に老いた風も悪くないと思えるように、礼を述べて振り出しの煙草を吸った。



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