LobLoy’s diary

現実日記・妄想日記・夢日記

遅くても早くてもそれはそれでかまわないから

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最近、飛騨高山を歩き尽くして、散策をしても新鮮味が失われてきたので、お店の一つ一つをゆっくりと徘徊し始めた。

移動は車なのに酒蔵直売店で日本酒の試飲をしそうになって危ないなと思い、古い町並みから少し外れを歩くことにした。

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その通りには骨董屋が並んでいる。

飛騨高山には骨董屋が多くあるけれど、その多くはもちろん東洋工芸・美術を主としている。軽井沢には西洋アンティークショップが軒を連ねているのが当たり前の様に、飛騨高山には東洋工芸が当然の様にそこで誰かを待ちわびていた。

その中で、何気なく西洋系の店を見つけた。

中を覗いてみると可愛らしいフェーヴや耐熱ガラスのマグ、ガラス細工が並んでいる。

扉を開けて、中に入ると人の姿は見えなかった。

「いらっしゃいませ。お品を直接手に取ってくださって結構ですからね」と姿は見えないが女性の声がした。

「あ、その額縁に入っているフェーヴも他のも好きに開けて下さいね。手に取っていただいて大丈夫ですよ」

(え?本当に勝手に開けて良いのか?これも?)

奥から女主人が顔を見せてくれた。

本当に全ての物に(勝手に)触れることができた。

気さくな女主人は僕が手に取った一つ一つのアンティークの年代と造り、買付の場所を丁寧に説明してくれた。

僕が欲しかったのは1940年代のグリーンガラスで猫を象ったアクセサリー入れ。そしてラリックの四面に女性を映したグラスだった。

「あぁ、その猫はちょっとお高いですね……猫の周りのはそうでもないんですけど……」と言うので、値段は訊かない事にした。←臆病。

猫は諦めて、棚に置かれているラリックのグラスを手に取り眺めていると美術館の作品を思い出した。

「私はそれをセットで見つけたいんですけど、買付に行ってもなかなか見つからないんです。他にデキャンタと対のグラスがあるんですね。そのグラスは、ラリックの美術館で展示されている作品と同じものなんですよ」

「そうですよね……やっぱり」

(手に触れて良かったのかな。おいくらまんえ………!……25万円!!まあ当たり前か)

元の位置にゆっくりと戻した。



「本当に硝子がお好きなんですね」と女主人は言いながら、ショーケースの上にお茶をそっと置いた。

「あ、いただきます。硝子はすごく好きなんです。理由まではわからないけれど。ずっと昔から」本当にどうして硝子が好きなのかはわからないなと口にして思った。

その後も一つ一つの品を繰り返し眺め、触れた。

現在も活動しているアーティストが創る作品も可愛らしくて素敵だった。

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とりあえず、選び抜いたフェーヴを一つ、ワインコルクの上に付ける犬の飾りを買った。

どっちも頭が悪そうな顔をしていて、凄く可愛い。

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「また来ます」

「はい、またお出かけくださいませ」

4時間半後、

岐阜を後にして、

ホテルの部屋でフェーヴを真剣に眺めている。


「なあ、頼むよ。お菓子の中じゃないにしてもさ。君達を見つけたのは僕だろ?ウサギとカメさんよ。どちらでも良いから僕に幸せを舞い込んでおくれ。遅くても早くてもそれはそれでかまわないから」




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