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LobLoy’s diary

現実日記・妄想日記・夢日記

選択と後悔

現実日記

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窓枠の隅を眺めていたら、知らない女の人が来た。
「これがちょうどいいの」と彼女が言う。
僕は彼女が窓の隅に黒いパイプを伸ばし、集った塵を蹴散らす姿に惚れ惚れしている。窓枠の隅の先にはベランダが有り、ベランダに出ようとしたけれど、熱気の招きに辟易する。
「火傷も覚悟の上なら」と彼女が言う。
僕は草履に足を伸ばすのをやめる。
窓の隙間から青と灰色か半分になっているのに気が付く。最近、欲しかったマグカップはそんな色だったなとふと思う。

目覚めると部屋はまだ薄暗かった。もうどれだけの時間が過ぎたのかもわからなくなって、時間を眺めた。
18時47分。
特に何も興味は湧かなかった。
とりあえず、ハイボールを飲む。しばらく時間が経って、することを考えた挙句に手記を書く。
21時22分。
今日が終わってしまうから、手記を書く。
夢にも、現実にも、僕が望んでいるものがないことをとりあえず綴る。ベランダに出る。白黒模様の背中をした野良猫が前を通る。
声をかけても見向きもしない。
Aみたいだ、と思った。

先日、親しくしていたAがインドへ渡った。
彼女が仕事で其処へ向かう前に、僕は彼女に幾つかの話をした。最後は彼女が遠くへ行く事を僕自身も望んでいるという話をした。彼女の欲したものが微かに見えたから。インドである必要は今でもわからないけれど。

彼女は僕の話に気を巡らせる必要もなかった。彼女の決断はもう下されていて、実際はただ彼女の表明に耳を傾け、小さな肩を眺めるだけで済んだ。

僕はと言えば、前に踏み出す必要があるかどうかもわからない歳になった。それでも直ぐに先を見てしまう。見てしまった後に、穏やかな青写真をねじ伏せて次の道を探してしまう。厄介なものだなと思いながら、Aに言った言葉を反芻する。

「人生は一度きり。一度きりだから良い。好きにやって、後悔してきなよ。後悔しない人生は面白くない。選択肢が生まれたら、どんな形であれ後悔はする。その質は君が選んだらいい」

彼女はすんなりとシャーリー・テンプルの前で後悔の質を選んだ。

それにしても、「永遠の愛がないのだから、恋も愛も必要ない」というAの話が気に食わない。

永遠がないから面白い。
君が選択した事と同じように。