LobLoy’s diary

現実日記・妄想日記・夢日記

海沿いの道

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私は海沿いの道の上にいました。

何時からその道の上に居たのか、そんな事すら考える事も忘れ去るくらいの時間を、私は車で走り続けていたのです。

はじめに海沿いの道と申しましたが、それは海沿いの道であると私が思うだけで、海沿いであるのかどうか、はっきりとはわかりません。なぜなら紛れもなく真っ青な海はこの目に映ってはいましたが、近づく事も離れる事もできなかったからです。
どんなに急いで海へ向かおうとしても、海へは少しも近づけません。長い時間をかけて、その道を走り続けているのに海の形容は始まりから一向に変化しませんでした。その道を右へ左へ向かおうとも、海は判然として在るというだけで、その海が本当は遥か彼方にあるのではないかと何度も疑ってしまうのです。車で走り続けるその道を、私は海沿いの道とただ呼ぶことにしていたのです。

私以外にその道を名付ける者もいませんでした。道の上で人に出会す事もない為、その道の名について誰に尋ねることもできません。それが海沿いの道であるのかも本当は私自身にはわからないことでしたが、道の名前くらいしか相手がおりません。私には車と海以外に何一つ連れがいなかったのです。

その道について、あやふやな事ばかりを話すので不思議に思うかもしれませんが、それにも理由がございます。厄介なことにその道は、突き進んでは必ず途絶えるという不思議な道で、右へ向かえば、いつのまにか右が終わり、左へ進めば、左が消えてしまうのです。気が付けば私は行先も忘れ、何処へ向かうとも分からず、途方に暮れながらも車は延々と走り続けてはまた右も左も失い、海沿いへと舞い戻るのを繰り返す始末だったのです。
道がその様に私を扱うので、遠くで私を静観する海にもいつしか恐れを覚えました。眼に映る青は、いつ果てるとも知れぬ私の身体を眺める鷲の群れの様に思えてきたのです。