15/10/2019

 

僕の家のバスルームで、Aが下を向いたまま立ち尽くしていた。
パーティーの最中だったのに、そこは空気の音も絶えている。
BもCも、僕も、彼の背中を少し離れた地点から眺めていた。
近付いてはいけないとみんな分かっていたからだ。
Aの足下は真っ赤に染まり、その先には4人の女性が横たわっていた。

話を早めると、その後にAの前に落ちている4つの魂の抜け殻を手っ取り早くどう処分するか、僕等は話し始めた。
マネキンに見立てようと石膏で固め始めたり、スプレーでカーテンと同じ色に彼女達を染めようとしたり、彼女達のためのトランクケースを作った。
そして僕らはあれやこれやで彼女達を運び出すことに成功する。それで終わり。

でも、しばらくしてから、魂の抜け殻の一つがある川で発見されてしまう。

それを見ていた1人の少女が走り出す。

彼女は薬を一粒飲み込んで、視界が虹色に染まる中を駆ける。
男達が彼女を追いかける。
彼女が駆けているのは、逃げる為だった。
逃げ通して虹色の終着点にたどり着いたら、世界の時間は今のまま保たれるけれど、男達に捕まると時間は過去に戻ってしまうから。
彼女は時間を過去に戻さない為に走るけれど、ぐっと男達の手が近付く。
彼女はまた薬を一粒、奥歯で噛み砕いて、走りきろうとする。
目の前が真っ白に染まる。

僕の家のバスルームで、Aが下を向いたまま、立ち尽くしていた。
BもCも、僕も、彼の背中を少し離れた地点から眺めていた。
Aの足下は真っ赤に染まり、その先には4人の女性が横たわっていた。
僕等は直ぐ、Aの前に落ちている4つの魂の抜け殻を手っ取り早くどう処分するか、話し始めた。
急いでこの家から出て、何処かへ彼女達を連れて行かなくてはいけない。

なぜか遠くから足音が聞こえてくる。
誰かが家の扉を開け、近付いてくる。
僕等は必死になって彼女達を隠すけれど、間に合わない。
僕はバスルームの扉の前に出て、扉を強く閉めた。
知らない女が目の前にいた。
僕はどうしたのか聞くと、バスルームを貸して欲しいと彼女は答える。
少し待って欲しいと言っても、彼女は扉を開ける。
彼女が見た先にはベッドルームが広がっている。
彼女は騙されたと言い、バスルームを探しに振り返る。笑いながら何処かへ消えて行った。
僕は不思議に思い、バスルームへ入る。
そこは確かに大きなベッドが一つあるだけの部屋に変わっていた。
そして、誰1人居なかった。
ただ、そこには魂の抜け殻が7つ眠っていた。

頭を抱えながら、部屋を出る。
僕の前を少女が駆け抜ける。
パステル模様の向かい風の中を彼女は走る。
僕は彼女を追って走り出した。

 

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